2014年06月28日

第2回 九州中央病院 看護部長 原田喜代子氏

第2回目は九州中央病院 看護部長 原田喜代子(はらだ・きよこ)氏に
インタビューいたしました。

20140618_121928.jpg


原田喜代子 氏(はらだ・きよこ) 
公立学校共済組合 九州中央病院(福岡市南区)の看護部長。国立別府病院付属看護学校(現 独立行政法人国立病院機構 別府医療センタ―付属大分中央看護学校)卒業後、現在看護師として勤務して40年目。2011年認定看護管理者資格取得。勤務地は国立病院、独立行政法人国立病院機構において九州管内9施設。看護師として16年9か月、看護師長として11年5か月、副看護部長として5年9か月、総看護師長、看護部長として6年勤務する。その間、単身赴任約9年間。現在は、福岡市南区の九州中央病院(330床)の看護部約350名のトップである看護部長として3年目を迎える。



■ライフストーリー
―なぜ、看護師という職業を選んだのですか?

なりたいものがなかったんです。
しかし、女性もこれからはしっかり働く時代だと思っていました。
そのときに「看護師の資格をとれば働けるよ」と母が教えてくれました。


−社会人になってから現在までのお話を聴かせてください。

高校を卒業して、別府の看護学校に入学し、
3年間学びました。

全寮制10人部屋。先輩に気を遣い、門限もあり、お部屋の前に並んで点呼をする毎日。
この集団生活の経験で、相当鍛えられました。(笑)

看護師の資格を取り、国立別府病院に2年間勤務。
23歳で結婚のため、国立療養所大牟田病院に転任。

28歳のときに、幹部候補の試験を受験。
試験に合格するが、昇任は辞退しました。


理由は子供がまだ小さかったから。
昇任するためには必ず転勤をしなければなりませんでした。
子育ての方が仕事より優先すべきことだと、その時は思ったからです。



子供が少し大きくなってから、国立久留米病院に異動し、看護師長に昇任しました。
国立病院の統廃合が行われていた時で、国立久留米病院を久留米大学病院に引き継ぎました。
その後、国立病院九州医療センターの立ち上げの時から関わり、9年間勤務しました。

途中、次のステップの研修を受けて、副看護部長への打診もありました。
異動は本来命令です。
看護管理者の多くは女性で、若い頃から転勤、昇任を繰り返し、
管理者としての力をつけていきます。

しかし、私はまたお断りし、
50歳になったときにやっと家庭も落ち着いてきたので
単身赴任も可能と考え、副看護部長への昇任辞令を受けました。

国立肥前療養所へ異動。副看護部長へ昇任。(1年9か月勤務)
国立病院機構長崎医療センターに異動。(2年)
国立病院機構宮崎東病院に異動。(2年)
国立療養所宮古南静園 総看護師長に昇任(3年)

約9年の単身赴任のあと、
2012年4月に九州中央病院へ看護部長として参りました。


■九州中央病院の人材育成について
―九州中央病院の看護部の理念は「恕」。意味は思いやり。
 己の欲せざるところ 人に施すなかれ。
 (自分がして欲しくないと思うことは、他人にとっても同じなのだから、
他人にすべきではないということ)

そのために、

@私たちは、安全確認を怠りません
A私たちは、患者さんの安全・安楽のために、知識・技術の向上に努めます
B私たちは、全ての方に笑顔で接します

ということですが、具体的に聴かせていただけますか?



九州中央病院は急性期の病院ですので、
まず人の命を助けるための実践力が大切です。
そのためには、専門的な知識と確かな技術が必要です。

しかし、看護師の業務は煩雑で、一つの仕事を終えるまでに、
ナースコール等で中断することがあります。
同時にいくつもの対応を求められるのです。
しかも、注射をしたり、いろいろな処置を行ったりすることは、危険と隣り合わせです。
このような状況のなかで、看護師は安全を第一に考えなくてはいけません。

また、看護師は患者さんの命や人生に関わる仕事です。
そのためには、人間性をきちんと身に付けていかなくてはなりません。
そのような意味において接遇が大切です。


業務が煩雑であっても、笑顔は大事。
看護師が自分のことで精いっぱいになってはいけないのです。


看護部の理念「恕」に向き合いながら、仕事をしてほしいと思います。
患者さん1人ひとりに「この病院を選んでよかった」と言っていただける病院と同時に、
看護スタッフ1人ひとりが、「この病院に勤務してよかった」と
思うことができる看護部を目指しています。

2025年問題もあり、現在看護師の離職防止、人材確保は社会全体の課題です。
当院では、看護師の離職防止とモチベーション向上のため、
ベテランの経験を活かすことを考えて、「達人ナース」の育成に力を入れています。

「達人ナース」とは、当看護部が独自に名づけたものですが、
特定の看護分野で、充分な知識と卓越した技術を持ち、
他の看護師に指導や教育ができる看護師のことで、
現在、「IV(静脈注射)ナース」と、
白梅先生にご指導いただいた「接遇コンシェルジュ」の達人が誕生しています。

「達人ナース」を育て活用することで、
ベテラン看護師の知恵が後輩へ受け継がれていく仕組みができ、
看護師全体の質やレベルを上げることに繋がると思います。


■部下を育てるときに心がけていることは
―原田部長が部下を育てるときに心がけていることは何ですか。

各スタッフの仕事のPDCAサイクルが
きちんとまわるようにするためによく質問をします。
例えば、目標は何か、具体的な対策が立てられているか、
計画や指示したことがどのように実践されているか
必ず結果を確認します。

基本的には自分で考えて、段取りをしてもらいますが、
初めて取り組む仕事に関しては、
効率よくできるように自分の資料などを提供する場合もあります。

また、指示はなるべく具体的に伝え、
「なぜ、そうしてほしいのか」その理由や根拠も伝えるようにしています。

そして、仕事の成果が出たら
自分の部署はもちろん、病院幹部、他部署の職員にも
分かるように会議等での発表の機会を与えたり、
報告書としてまとめるように指導しています。

常に視野を広く保つように、
学会参加を促したり、外部講師に来ていただいたりしています。


■若手ナースへ一言
― 一生続けられる仕事として、看護師を選ぶ女性も増えていると思います。
専門職としてまだ経験の浅いナースへ先輩として一言お願いします。


二つあります。
一つめは、しっかり勉強してください。
雑誌、研修会、学会参加など勉強する環境は整っています。
情報を得て、しっかり勉強することで仕事への興味が深まり、
将来の目標も立て易くなるのではないかと思います。
経験したことをやりっぱなしにせずに、
常に整理をして、強みにしてください。

二つめは患者さんのそばに行ってください。
ベッドサイドに行くことで患者さんとの関わりが深くなり、
より適切な看護ができます。
患者さんからの感謝の言葉が、看護師にとって
一番達成感を得ることができるのではないでしょうか。
理念「恕」をいつも意識して、実践してください。



■原田部長の夢は
―原田部長の夢は何ですか?


お陰様で、離職率も全国平均を下回るようになってきました。
現在、この病院の看護スタッフはとてもいい人材が集まっています。

しっかり育てて、患者さんにとっても
安心して治療、入院ができる病院にしたいと思います。
スタッフは、まだまだ未熟な面はありますが、
とても素直で、優しく、温かいと感じています。

また、どのように忙しくても業務命令に対しては、
嫌な顔ひとつせずきちんと従います。
地域の皆様のために救急車を断らないという病院の方針も、
このようなスタッフだからこそ、積極的に取り組んでいるものと感謝しています。

ゆえに、スタッフにとっても「働いてよかった」と思える病院にし、
看護師の仕事や職場を魅力的なものにしたいと思います。

そのために、教育体制や看護体制を整えて、
選ばれる病院を目指します。
そして、最終的には理念を引き継いでくれる後継者を
しっかり育てたいと思っています。


■インタビューを終えて

20140618_122221.jpg


九州中央病院は、来年の1月中旬に全室個室の新病棟が完成する予定です。
看護部では、患者さんに快適に過ごしていただくために、
昨年度から接遇力向上に力を入れていらっしゃいます。
私は「接遇コンシェルジュ」という、
院内において接遇力向上を推進するリーダーの育成をサポートさせていただいています。

初めて打ち合わせに伺ったときのことです。
看護部長というと、何となく怖いようなバリバリのキャリアウーマンを連想したのですが、
(申し訳ありません!)、現れたのは小柄で優しい笑顔の素敵な女性でした。

今回のインタビューで、キャリアについてのお話を初めて聴かせていただきました。

管理職試験に合格しながらも、子育てを優先なさり、
ある程度子供が大きくなってから転勤をしながらキャリアアップなさったこと。

スタートが遅くても、本当の実力をつけておけば
きっと周りの人からも認められ、相応しいポジションが与えられるのでしょう。
仕事に対する思いをお話になるときは、聴き手の私も背筋がピンとなりました。

当時はフロンティア(開拓者)だったのかもしれませんが、
現在、原田部長はきっと多くの家庭を持つ看護師さんたちのロールモデル
ではないかと思います。

また、インタビューの最後に「お花、美術、美しいものが好きです」と
優しい笑顔でおっしゃっていました。
写真(1枚目)に写っているお花は、部長のお宅に咲いているバラだそうです。

貴重なお時間を有効に使うために事前に質問事項をお伝えしたところ、
きちんと文字にしてまとめてくださっていたので、恐縮してしまいました。

今回、大事な日にインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。
お誕生日おめでとうございます。


bara.jpg


2014.6.18. 白梅英子
posted by 白梅英子 at 14:20| Comment(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: