2014年05月31日

第1回 グロービス経営大学院 福岡校リーダー 佐野友昭氏

第1回目はグロービス経営大学院 福岡校リーダー 佐野友昭(さの・ともあき)氏に
インタビューいたしました。

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佐野友昭 氏(さの・ともあき) 
グロービス経営大学院 福岡校リーダー。教員(マーケティング・経営戦略領域)。
慶應義塾大学理工学部卒業。グロービス経営大学院(MBA)修了。
大手通信会社にて、研究開発、新サービス開発、法人営業に従事。
その後グロービスに入社し、東京校にてスクール部門のマーケティングチームのリーダー、
企業研修部門のコンサルタントを経て、福岡校の立ち上げに挙手。
グロービス経営大学院や企業研修でマーケティング・経営戦略領域の講師を務めるほか、
講師育成やケース開発も行う。


■ライフストーリー
―社会人になってから現在までのお話を聴かせてください。

ウィンドサーフィンに没頭した大学時代。
20代の頃は、自分が何をしたいのか分かりませんでした。


私の父は仕事のことを家で話す人ではありませんでした。
また、大学時代は学校と海と自宅との往復で、ほとんど都内には行かなかった(笑)。
早く経済的に自立したいとは思いましたが、社会人として絶対にこれをやってみたい、
というモノがありませんでした。最初の就職先は大手通信会社でしたが、
当時は3つのポイントで就職先を選びました 


(1)世の中に貢献していること(=やりがいを実感できそう) 
(2)成長産業であること(=新しい挑戦の機会がありそう) 
(3)社内に幅広い仕事があること(=自分に合う仕事を見つけられそう) 


もっともらしい気もしますが、これは実は典型的な先送りです(笑)。
この通信会社には10年間勤めました。
最初は研究所に4年間、その後本社で新サービスの開発や実現方法の検討に4年間、
最後の2年間は法人営業を経験しました。
常に自分がいる環境の中では、がんばりました。
また、先輩や上司にも恵まれ、いろいろなことを教えていただきました。


その一方で、「このまま見えないレールにのって一生を過ごしていくのが、
本当に自分の人生なのか?」という漠とした違和感が常にありました。
自分が本当にやりたいことが見えないまま、10年後、20年後の立場だけは、
なんとなく想像できてしまう。
心の底からワクワクできない。
でも、周囲からも頼られるようになり、仕事がどんどん忙しくなってくると、
当初の違和感がだんだんと薄れていく。そんな状況でした。


しかし、30才の時に転機が訪れました。


遽、市議選に立候補、落選。
この経験が人生の「宝」になった。



当時住んでいた街で、市長選がありました。
私は学生時代にお世話になった先輩の選挙活動をボランティアで手伝っていました。
突然、彼から選挙の2週間前に「市長選と同じ日に、市議会議員の補欠選挙がある。
これに立候補しないか」と誘われました。


唐突すぎる話でしたが、ここまで「おまえが必要だ!」と頼りにされたことは初めてでした。
正直、それがとても嬉しかった。
このような時に一歩踏み出す自分でありたいと思いました。
また、当選すれば、自分の社会人としての経験やITの知識を活かして大好きな街に様々な
貢献ができるだろうとも思いました。


ポスターを作り、政策新聞を作って駅頭で配り、選挙カーの上でマイクをもって演説。
全てが初めてのことでしたが、2週間の選挙活動を必死にやりきりました。
多くの友人がボランティアに駆けつけてくれました。
しかし、結果は僅差での落選でした。
私は元の会社に復帰しました。


無謀な失敗談のようですが、この経験が私の人生の中での一番の「宝」になっています。
私はこの経験を通じて、いろいろなことを考えるようになりました。


自分は本当に何がやりたかったのか。
自分は何ができる人なのか。
どんな生き方をしたいのか。
誰のために生きたいのか。


特に選挙後の半年は、日々活動しながらも、そんなことを毎日考えていました。


同時に、新しいことに一歩を踏み出すことに、抵抗や恐怖をあまり感じなくなりました。
結果がどうであっても、その経験から多くを学ぶことができ、新しい生き方に繋がる。
そんなことを実感できたからだと思います。


「提案力」を高める必要性に駆られて、
グロービスで学び始めました。



グロービスとの出会いは、法人営業の部署に異動となり、
プロジェクトリーダーを任された時でした。
チームで分厚い提案書を作成して、自らプレゼン、受注したらシステム導入に向けて
案件をマネジメントする。
これが当時の私のミッションでしたが、提案書の書き方もプレゼンの仕方も、
これまではきちんと学んだことがありませんでした。
何となく我流ではできるけど、自分の中に「定石」がないので、
どうすれば良くなるかをチームメンバーに伝えることができない。
そうすると、自分でたくさん仕事を抱えざるを得なくなります。
この状況を打破したいと思って通い始めたのがグロービスでした。
最初はまず3ヶ月、「クリティカル・シンキング」と「マーケティング」の2クラスを受けました。


成果はすぐに現れました。「クリティカル・シンキング」で学んだ、
相手に伝えるための「枠組み」を使って提案資料を作成し、提案コンペでプレゼンをしたところ、
2億円の仕事がとれました。
その成果を最終回のクラスで報告することができました。


このような成果もありましたが、グロービスの受講は純粋に楽しかった!
これまでに話をしたこともない業種・職種の受講生仲間と、
授業の課題を真剣に議論したり、懇親会でお互いの仕事や人生の話をしたりすることが
とても刺激的でした。
そんな経験から、自らがこの場を提供する側になりたいという気持ちが強くなり、
転職することにしました。


ゼロからやってみたかったんです。


グロービス入社後は、東京校にて、自らグロービス経営大学院の1期生として学びながら、
仕事としては、学生募集、大学院の立ち上げ、マーケティングのチームリーダー、
企業研修のコンサルタントなどを経験しました。
大学院を卒業してからは講師としての訓練を積み、
2年後にはマーケティングの講師としてクラスに登壇するようになりました。
その後、福岡校を開校することが決まり、
社内に「立ち上げ要員募集」が告知されました。


私は福岡に縁もゆかりもありませんでしたが、直感的に「やってみたい!」と思いました。
ゼロから立ち上げることをやってみたいと常々思っていましたし、
「この仕事は学生・スタッフ・講師という3つの立場を経験している自分だからこそ適任だ」
という自負もありました。
妻も「福岡ならいってみたい!」と快諾してくれたことも大きいですね。
そんな経緯で、2012年の6月から、
福岡出身の同僚とともに、福岡で開講準備に取りかかりました。


福岡校は、10ヶ月の準備期間を経て、2013年4月に開校しました。
開校当初から130名を越える単科生(科目単位で受講している方)が集まってくれた時は感無量でした。
そして、今年(2014年)の春からは、80名を超える本科生(MBA取得の意志決定をして入学された方)が入学されました。


―福岡校の1期生についてどう思いますか。
一言で言えば「熱い人たち」です。
リスクをとって新しいことに挑戦する熱量がすごいですね。
自分達がリーダーになるんだ、1期生として自分たちが校風を創っていくんだ、という
意識が高い、気持ちの良い方が集まっています。
私にとってはお客様でもありますが、一緒に学校を創っていく同志だと思っています。



■グロービスの人材育成について
―グロービスの人材育成の方針は、
経営学を教えるのではなく、「創造と変革の志士」を育成する。
そのために、@能力を高める A人的ネットワークを構築する B志を醸成する
ということですが、佐野さんはどのように思いますか?


「創造と変革の志士」について、もう少し噛み砕いて説明します。

私たちが育てたいのはビジネスリーダーです。
グロービスではそれを「創造と変革の志士」と呼んでいます。
経営には様々な局面がありますが、0から1を立ち上げる「創造」や、
戦略や組織を変える「変革」の局面をリードすることが最も難しく、
かつ社会に対してインパクトがあります。
そのような局面で、「よしやってやろう!」と一歩前に出て、
周囲を巻き込みながら覚悟をもって取り組み、事を成し遂げる力をもった人、
それが「創造と変革の志士」です。


このような人をたくさんグロービスから輩出したいと思っています。
グロービスで学んだ多くの志士達が、国内外の各分野で活躍していくことで、
社会に創造と変革をもたらす。
これが、我々が目指す姿なのです。


「志士」という言葉は、ともすると男性をイメージしやすいのですが、
男女に関係ありません。
実際グロービスの受講生は5人に1人が女性です。
これからも、女性の比率をどんどん増やしていきたいと思っています。


能力を高めるだけならば、別の大学院でもできます。
グロービスで学ぶ方は、人的ネットワークを広げ、
自らの志に向き合おうという目的意識をもって学んでほしいと思います。
これら3つは同時に意識することで相乗効果がでます。


昨日できなかったことができるようになることで、
自分に向いていること、やりたいことが新しく見つかりますし、
自分の課題や夢を語り合うことで、本当に本音で語れる仲間、助け合える仲間ができます。
それが更なる学びの意欲へ繋がっていくのです。


本音は、自分が一生懸命にやっているときに出ます。
また、周りにがんばっている人がいると出ます。
青臭い、暑苦しいイメージがあるかもしれませんが、
グロービス福岡校では、そうした話が自然にでてくる空気が既にあり、
それが校風になりつつあります。



■リーダーとして心がけていること
―佐野さんが部下を育てるときに心がけていることは何ですか。

これは難しい問いですね。
私は、リーダーシップスタイルというのは、
メンバーやその時の環境によって変える必要があると思っています。


現在、福岡校には私を含めて5名のスタッフがいます。
福岡校は、開校にあわせて入社したスタッフもいる中、
未経験のこともチーム一丸となって乗り越えなければならない環境にあります。
私も全ての業務をこなせるわけではありません。
したがって、スタッフに思い切って任せざるを得ません。
わからないことがあれば、他拠点にいるスタッフに問い合わせてもらうこともあります。
リーダーとしての私は、「こうあるべき」という価値観や方向性を共有し、
そしてスタッフの一連の問題解決をサポートする。
フレームで言うと、支配型のリーダーシップではなく、
サーバント・リーダーシップ(※)のようなスタイルが理想だと思っています。


実際、今はそうしなければ成り立ちません。
指示待ちではなく、一人一人が自律的に動いて、自分で問題を解決する。
でもその時、いくら任せるからといっても「丸投げ」ではダメですね。
この塩梅がとても難しいところです。


※サーバント・リーダーシップ(servant leadership)について
米国のロバート・グリーンリーフ博士が提唱した概念で、
「まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という発想に立って、
リーダーシップを発揮することを指します。

詳しくはこちら ⇒ 【新版】グロービスMBAリーダーシップ P58




■九州の20代のビジネスパーソンへ一言
東京校と福岡校の受講生を比べると、東京校のほうが、平均年齢が2歳くらい若いそうですね。
若手ビジネスパーソンへ一言お願いします。



まずは、何をしたら良いかがわからない人や一歩ふみだすことを迷っている人へのメッセージです。
成功の反対は失敗ではない。
何もしないことです。
まずは、一歩踏み出してみてください。
そうしたポジティブな一歩が次の機会を生むことがあり、
後から振り返ってみるとそれが一本の道になっている。
たとえうまくいかなかったとしても、多くの気づきを得られるはずです。
だから、ぜひ、迷ったらやってみることをお薦めしています。


次に、すでにリーダーとしてすでに活躍していたり、
起業を決意したりしている人へのメッセージです。
ちゃんと「武器」を持って戦ったほうがいいと思います。
思いや勢いもとても大事ですが、それだけでは限界があります。
チームをまとめる、売上を伸ばす、アイデアを形にする、
そのようなときにあなたを助ける「武器」、
すなわち「ビジネスの定石」や「考える力」を手に入れてほしいと思います。

―佐野さんのミッション何ですか

背中を押すことです。
僕の役目は黒子。
主役はその人です。



私は30歳のときに背中を押されて選挙に立候補したことで、
自分の人生が大きく変わりました。
グロービスに通った時も、大きく人生が変わりました。
そのたびに、私はより幸せになりました。


そんな私の今のミッションは、「人の背中を押すこと」です。
そして、より多くの人と関わり、一歩踏み出す勇気をもっていただくための
「最高の学びの場」を提供することです。
とても幸せな仕事だと思っています。


■インタビューを終えて

私はグロービスでマーケティング・経営戦略という科目を受講しました。
そのときの講師が佐野さんです。
このブログの立ち上げを相談すると、快く引き受けて、
一つひとつの質問に、真面目に丁寧に答えてくださいました。
なかでも「福岡校を大きくして、さらに受講生の役に立ちたい」と熱く力強く語る姿が印象的でした。

インタビューの最後に
「我々はお互いの立場で、頑張っているビジネスパーソンを応援しましょう」とおっしゃいました。
「我々=We」と二人称で、人材育成に関わる同志と思ってくださっていることが
とても嬉しかったです。

普段は、知的でクールな感じの佐野さんですが、
アルコールが入ると論理的に話せなくなるので・・・とのこと(笑)。

「質問の意味や意図を深く理解して、的を射たシンプルな答えを返す」

今回、インタビューすることもされることも経験豊富な佐野さんから学んだことです。
ご協力いただき、ありがとうございました。

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2014.5.13. 白梅英子
posted by 白梅英子 at 13:32| Comment(0) | 2014年
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